終活コラム

遺品整理士の終活コラム

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第20回 年金がもらえないって言ってるの、誰?

イエスもノーもないのであれば

ゴールデン・ウィークのご予定はもう決まりましたでしょうか。株式会社三共の吉川徹でございます。5月の3・4・5日には「浜松祭り」というものがあって(※1)、この時期になると街全体が祭り前夜ならではのちょっとした高揚感に包まれる、気がついたらもう、そんな季節ですね。

さて。今回と次回は「年金」を取り上げたいと思います。昭和36年にスタートした国民年金(公的年金)制度は「国民皆年金」とも呼ばれ、加入は強制です。

「個人情報が漏れたりして信用できないよ」とか、「制度設計に難があるからわたしは加入したくない」とか、いろいろご意見はあると思います。ですが、社会保険料として天引きされているサラリーマンにしてみれば(わたしもそうです)、「イエスもノーもない」のが事実。払いたいも、払いたくもないもないのです。解約も脱退もできません。

そうであるのなら、個人レベルでできることは「制度をよく知って損をしないこと」。確かに年金はわかりにくいところも多々あるのですが、大枠(おおわく)だけでも一緒に確認してみましょう。

 

 

 

質問 : 国民年金は本当にペイするのでしょうか

国民年金はよく家屋の構造に例えられます。1階部分が「基礎年金」、2階部分が「厚生年金(※2)」、3階部分が「厚生年金基金」になります。どこがどう家屋なのかというと、基礎年金(1階)の受給資格を満たさないと、厚生年金(2階)ももらえない、ということです。

わたしたちは20歳から60歳まで保険料を払い、原則、65歳になると年金をもらえるようになります。「40年間も払わなくちゃいけないの?」という声が聞こえそうですが、そうなると気になるのは損益分岐点。わたしたちは払った以上の金額をもらえるのでしょうか。

つまり。国民年金は本当にペイするのでしょうか。

いい質問ですよね。ではせっかくですから、ここでは1階部分の基礎年金を例に取って、算盤を叩いてみましょう。

平成29年度の保険料は、月額16,490円です。1年で約20万円と仮定すると、40年間で約800万円納めることになります。

では、いくらもらえるのでしょうか。65歳から支給が始まり、その金額は平成29年度は年間で779,300円になります。約80万円、といっていいと思います。そこから「何歳まで」保険料をもらいますか。それはあなたが亡くなる日まで、です。そして。日本人の平均寿命は男性は80歳、女性は87歳でした。

支払った額が800万、受け取る額は1年で80万、10年受け取ると800万になるから・・・。

ということで答えが出ました。「75歳まで生きれば国民年金はペイする」(※3)が解答になります。もしあなたが平均寿命まで生きれば、男性なら400万円、女性なら960万円の大幅な黒字になるのです。

 

 

 

解答 : 国民年金は本当にペイします!

このように冷静に算盤を弾いてみると、実際には考えられないほど加入者が有利な仕組みになっています。基礎年金は国庫が2分の1を、厚生年金は事業所が2分の1を負担。民間ではありえない金融商品、と言ってもいいと思います。

かつて、「年金がもらえないって言ってるの、誰?」という政府CM(※4)がありました。詰問口調のそのスタイルは議論を呼びましたが、言っていることだけを言えばそのとおり。「今、納めていれば必ず受け取れる。それが国民年金」というあのCMのコピーに、実際に嘘はないのです。

とはいうものの、国民年金に対する国民の不信感は根強いものがあります。「浮いた年金問題」もありましたし、そもそも制度が本当に複雑で(※5)、納める保険料も、受け取る年金額も毎年変動します。手続きが申請主義なのもまた、拍車をかけていますよね。

日本人は税金を払うことに強い抵抗感があると言われますが、国民年金にも同じようなことが言えると思います。ですが、社会保険庁の解体とともに始まった「ねんきん定期便」等により、今までよりわかりやすい制度・使い勝手の良い制度になっていると思います。

国民も人間なら、政府を運営しているのも人間です。完璧な制度なんてありません。ちょっとずつ改善されていく諸制度に対して、わたしたちはもう少しだけ能動的になる必要があるのかもしれません。

次回ももう少し、年金についてお話させてください。それでは、また。


(次回更新予定日 : 2017年05月08日)

 

 

 

※1 5月の3・4・5日には「浜松祭り」というものがあって
初子(はつご)の誕生を祝って、昼には中田島砂丘で大凧を上げ、夜は豪華な御殿屋台と勇壮な練りで町内を回る浜松祭りは、440年以上の歴史を誇り、昨年は3日間で計173万人を動員しました。あくまで町内のお子さんの誕生を祝うのがベースですので、見るよりは参加するほうが楽しいイベント。飲食店や交通機関はもちろん、祭り用具店、美容院、そしてわたしたちのような廃棄物処理会社にとっても、手が回らなくなるほどの繁忙期。誠にありがとうございます。4年に1回くらいでもいいんじゃないかなんて、思っていませんよ、ええ(苦笑)。

※2 厚生年金
いわゆるサラリーマンが強制加入している年金を厚生年金と言い、1階と2階の両方に該当します。給料から天引きされていますので、払っている感覚はないかもしれませんね。加入者は第2号被保険者と呼ばれ、自営業者や学生は第1号被保険者、全額が免除されている専業主婦などは第3号被保険者と呼ばれています。厚生年金は所得比例型で、現役時の収入の50%をイメージして設計されています。したがっていくらもらえるのか、極めて複雑な計算式になっています。

※3 「75歳まで生きれば国民年金はペイする」
言うまでもなくこの計算は文字通りの「机上の算盤」です。払う金額ももらう金額も、毎年変動します。あくまで現在の金額を基に算出したに過ぎず、前提が変わってしまえばすべてが変わってしまいます。受給開始も現在は65歳からですが、それが68歳・70歳に変更される可能性は、ゼロではありません。極論を言えば「先のことは誰にもわからない」のです。「最低でも、払った金額の2倍は戻ってくるようにします」というのが、政府の絶対防衛ラインのようです。もっとも、国民年金は世代間扶養が原則になるので、本当は「ペイする/しない」という話は制度には馴染まないんですけどね。

※4 「年金がもらえないって言ってるの、誰?」という政府CM
2003年に放映されていたCMです。現在もですが、年金に対する弱年層の未納率に苦しんでいた当時の社会保険庁が作成したもので、若い人に対してタレントが「きっぱり、はっきり言い放つ感じで」作られました。その勢いに驚いた若者たちが、確かにそうだよな、ちゃんと払わなくちゃな、と納得するような落ちで。うがった見方をすれば、「政府が若者を恫喝している」ようにも見えるこの作り。最後は起用されたタレントが年金を未納していたことも発覚し、いろいろな意味で話題になりました。

※5 そもそも制度が本当に複雑で
国民年金はいわゆる世代間扶養、現役世代が高齢世代を支えるかたちになっています。貯蓄ではありませんので、結果、世代によってもらえる金額に「相当な差」がでます。また、払わなくても年金がもらえる第3号被保険者の不公平感もよく議論になります。厚生年金は昭和16年に始まり、国民年金は昭和36年にスタート。管轄する法律もそれぞれ違い、これはすべての制度設計にも言えることですが、現状に合わせて何度も「建て増し」をした結果、複雑になってしまいました。すべてを壊してゼロから作ることができれば、話は簡単なのですが、そうはいかないところがまさに政治の難しいところ。こういうことを知れば知るほど、政治家の先生方には同情したくなります(笑)。

 

 

 

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吉川徹(よしかわとおる) プロフィール
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1977年静岡県浜松市出身

遺品整理士(IS02984号)
終活カウンセラー上級インストラクター
最終処分場管理責任者

【近況報告】
10歳の娘が今年は「お囃子(はやし)」をするということで、春先からずっと練習して来ました。「浜松祭り」では、街中を各町内の御殿屋台がまわるのですが、そのなかで笛や太鼓を吹く役どころです。わたしは自治会から交通整理を頼まれており、いろいろな人が関わってお祭りが運営されているのだと改めて実感。裏方の仕事、わたしは得意なんです(笑)。お任せください。

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第19回 「初めてのエンディングノート書き方セミナー」

ご来場いただいた方には、心より感謝を

一気に春が芽吹いた感のある新年度ですが、親愛なる皆さま、いかがお過ごしでしょうか。株式会社三共の吉川徹でございます。

先日、「静岡新聞びぶれ」さま主催の終活イベント(※1)で、セミナーを開催させていただきました。テーマは「終活カウンセラーと書く、初めてのエンディングノート書き方セミナー」。去年の9月にも同じテーマでやったのですが、今回は定員が30名さまのところ、応募者多数で42名さままでお席を増設。当日、来場をしていただいた方には、心より感謝申し上げます。

今回はコラム上で、当日のセミナーを再現してみようと思います。

 

 

 

知らない間に社会の構造が急激に変化しているのです

「エンディングノート(以下、EDノート)書き方セミナー」ですので、当日はEDノートを無料にてプレゼントします。今ではさまざまな種類のEDノート(※2)がありますが、お配りするのは「終活カウンセラー協会」が発行しているもの。

セミナーではこれを参照しますが、その場では書きません。EDノートは個人情報の宝庫。見知らぬ方と一緒になる会場で、自分の資産の状況だの、希望する終末医療だの、ちょっと書きづらいですよね。

一緒にページをめくりながら説明はしますが、書き込むのはご自宅へ戻ってから。ゆっくりじっくり、書いてみてください。


セミナーは、終活の定義・講師自己紹介(※3)・終活クイズ・日本の現状へと続きます。少子高齢化、なんて言いますが、少子化は「生まれてくる子供の数が少ない社会」、高齢化は「高齢者の比率が多い社会」という意味になります。

高齢者は「65歳以上の方」を定義し、これはWHO(世界保健機構)が1950年代に定めた(※4)そうです。世界基準、なのですね。現在の日本の高齢化率は26.7%、4人に1人以上が高齢者という社会になっています、というのは有名な話ですよね。

さらに日本の場合は、急速に高齢化が進みました。「高齢化社会」から「高齢社会」になるまで、フランスは114年、ドイツは42年かかったのですが、日本は24年で到達。あまりに早い社会の変化に、施策が追い付いていないのが現状です。

ですがもちろん、高齢者が悪いわけではありません。ただ単に、今までとは少し違う社会になっているので、今までとは少し違う活動が必要なのです。

そして、それが終活なのです。

 

 

 

愛している人に、愛していると伝えましょう

時間は60分。パワーポイントのスライドをめくりながら、セミナーは続きます。

1時間、終活について勉強した私たちはもう、終活初心者ではありません。ここから先、「終活中級者を目指すのなら」ということで、3点、お話しさせてください。

1
)財産の全貌を把握しよう
2)遺影を撮っておこう
3)遺言書は、必要

終活は、人との絆を再確認すること。あなたにとっての大切な人は誰ですか。それが家族であるとは限らないと思います。恋人なり、友人なり、ペットなり。愛している人に、愛していると伝えましょう。

本日はご清聴、誠にありがとうございました。


という感じでセミナーは終了です。セミナー終了後、数名の方と個別にお話しすることが出来ました。温かい励ましのお言葉、リビング・ウィルって何? という質問、夫にも書かせたいんだけど、このEDノートはどこで売っているの? (※5)等々。

セミナー会場にいらしている方は、全員がわたしより年配の方。わたしのような若輩者の話を聞いてくださって、本当に嬉しく思います。わたしが人生の先輩方に何かをご教示できるわけはないのですが、どうぞこの先も、お付き合いいただけたらと思います。それでは、また。

 

 

 

※1 「静岡新聞びぶれ」さま主催の終活イベント
正式なタイトルは「ワンダフルライフ2017 大人の準備! 終活を考えよう」。充実したセカンドライフと終活のヒントが詰まったイベント、とあります。会場は中区早馬町のクリエート浜松。他にも「脳いきいき講座」、「人生の終い方」といったセミナー、入棺体験や遺影撮影会(遺影はぜひ撮っておきましょう!)、掛川茶の先着プレゼントや福引、各企業の宣伝ブースもありました。天気のいい、とても気持ちのいい1日でした。また9月にも開催されるそうですので、ぜひチェックしてみてください。

※2 さまざまな種類のEDノート
本屋に行くとEDノートの専用コーナーがあるくらい盛況ですが、選ぶのがなかなか難しいのもまた事実。好きなものを購入していただいてもちろんいいのですが、他の書籍と違うのは「自分であれこれ書き込む」というところ。読んでで終わり、ではないのですよね。そうであれば使い勝手のいいもの、「重厚過ぎないもの」がベターかと思います。最初の一冊目ということであればなおのこと、「冊子が薄いもの」でよろしいかと思います。

※3 講師自己紹介
最近のセミナーでは必ず講師の自己紹介があります。若いときの新規事業失敗話とか、趣味はトライアスロンだとか、この間はタクラマカン砂漠をマラソンしたきたとか。無趣味なわたしにはそんなエピソードもなく、だいたいは娘の話をしています。彼女は最近は何故かクルマに興味を持ち出して、3,000万円のフェラーリを買えと言っています。いつもいつもこっそり話のネタにして父は反省、今後も末永く提供をよろしく・・・。

※4 WHO(世界保健機構)が1950年代に定めた
1950年代、日本人の平均寿命は65歳だったそうです。したがって「65歳 = 高齢者」は確かにその通り。当時の定年は55歳で、定年後10年で他界するのが平均値でした。それから約60年、平均寿命は男性が80歳、女性は87歳まで伸びました。現在の65歳はまだまだ元気ですよね。それを受けて「高齢者の定義を見直そう」という動きがあるのですが(日本老年学会)、個人的にはちょっと政治的な不穏な意図を感じます。何にせよ長寿なのは社会が安定している証拠、とてもいいことだと思います。

※5 このEDノートはどこで売ってるの?
夫にも渡したい、友達にも渡したい、とおっしゃっていただき、本当に嬉しかったです。いえいえ、まだ余剰がありますから、ぜひお持ち帰りください、と言ってお渡しさせていただきました。終活カウンセラー協会のものは「マイウェイ」という商品名で、巻末に税別1,000円と書いてあります。これをわたしたちは200円でおろして、げほげほっ。あ、このネタ、前にもやりましたよね(苦笑)。弊社のHP上で無料プレゼントしているものは、遺品整理士認定協会のものになりますが、こちらもよかったらぜひ。

 

 

 

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吉川徹(よしかわとおる) プロフィール
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1977年静岡県浜松市出身

遺品整理士(IS02984号)
終活カウンセラー上級インストラクター
最終処分場管理責任者

【近況報告】
忙しさを言い訳にして、1か月間、当コラムの更新をフリーズしておりました。特にどこからもクレームは来なかったのですが(笑)、大いに反省。戦線に復帰して、きちんと月に2回の更新をして参りたいと思います。そして。「終活カウンセラー上級インストラクター」に無事、合格することが出来ました。

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第18回 葬儀社の選びかた

現代人の8割以上は自宅以外で最期を迎えます

株式会社三共の吉川徹でございます。「遺影」、「お葬式」と続いて、今回は「葬儀社の選びかた」について考えてみたいと思います。

現代では、人が亡くなる場所の8割以上が「自宅以外」になります。病院や施設等で最期を迎える方がほとんどで、「自宅の畳の上で死ぬ」ことは稀になりました。ご本人は不本意かもしれませんが、その後の流れを考えると、医療機関で亡くなったほうが遺族としては負担が少ないのも事実です。また、法令上は死亡後24時間以内は火葬もできません。

書類の申請以外のことを言えば、最初にすることは「ご遺体を搬送すること」。医療機関が紹介する葬儀社(※1)にお願いすることになるのが通例で、この段階では葬儀社は選べません。そして多くの場合、ご遺体の搬送を担当したこの葬儀社が「その後の葬儀のすべて」を担当することになりがちです。

ですが、本当はここからは業者を選択できるのです。詳しく見ていきましょう。

 

 

 

まずは安置までをお願いし、いったん落ち着きましょう

身内の突然の死は、誰にとってもナーバスなもの。葬儀社スタッフの身なりが気になったり、言葉遣いが不快だったりするのであれば、その葬儀社に任せる必要はありません。そもそも、その病院と「たまたま提携していた」だけの関係性に過ぎないのです。大切な葬儀一式を任せるに足る業者かどうかは、自分たちで確認するしかありません。

まずはご遺体の搬送先を決めます。それは「自宅か葬儀社か火葬場」の三択になるのですが、まずは運んでもらうだけ。その業者に安置までをお願いをし、そこでいったん清算。改めてお葬式の見積もりを書面でお願いしましょう。

自宅に安置してもいいですし、遺体を預かってもらってもいいと思います。まずはいったん落ち着き、互助会(※2)に入っていたかどうか、喪主は誰にするのか、宗教は何だったか(※3)、参列者が何人くらいになるか(お葬式の規模)を考えます。そして、必ず複数社に見積もりをお願いしましょう。

複数社に見積もりを出すことに不快感を示す業者、書面での提出を渋る業者は問題外。除外して問題ありません。また見積書の内容が雑な業者(一式でいくら、とだけ書く)もお願いはできませんよね。

ホームページや電話での印象だけでなく、欲を言えば営業担当者に会って話ができるとベストです。人の死によって発生する葬儀は、遺族にとっては「めったにないこと」でも、業者にとっては「よくあること」。事務仕事感が出過ぎずに、遺族の悲しみに寄り添える業者かどうか、見極めてください。

また、見積書で大切なのは変動要素の明記(※4)。招待状を配る結婚式とは違い、お葬式は「何人来るかは、やってみるまでわからない」もの。人数が増えることで「香典返し」や「飲食代」が変わります。それがちゃんと明記されているかどうか、確認してください。

「最初の見積書と請求金額が違う!」というトラブルは、だいたいここに起因します。 

 

 

 

どうかお疲れがでませんように

時間がなくて複数社に見積もりなんて取れないよ、ましては担当者と直接会ってから決めるなんて、とてもじゃないけどわたしには無理、と思われるかもしれません。ですが、急いで決める必要はまったくないのです。

現在は防腐技術も進んでいますので、処置を施しさえすれば、一週間安置しても問題はありません。そもそも
東京では火葬場があかなくて、一週間またされることも珍しくないそうです。

葬儀が始まってしまえば、遺族にはゆっくりする時間はありません。各種の手続きと参列者(会葬者)への対応でいっぱいいっぱい。亡くなったご本人は取り仕切ってくれません(笑)。ご遺体を前に、誰にも邪魔されずにゆっくりと思い出にふける時間も、わたしは大切だと思います。魂が天に召されたあとのご遺体は、少し怖いかもしれないけれど。


葬儀社は許可や認可は必要でないため、誰でも事業として始めることができます。したがって、正確な葬儀社数は把握できていないと言われ、監督官庁さえ存在しません。また、日本人独特の「死を忌み嫌う(死を考えたくない)習慣」(※5)が業者への不理解につながり、金額その他のトラブルになっていたのだと思います。

どんな業界にも志の高い優良事業者もいれば、そうでない不埒な集団もあります。大切な身内の大切な葬儀ですから、「よくわかないから、業者にすべてお任せで」とはしないで、きちんと選んでほしいと思います。そういう意味では、本人が生前に葬儀社を選んでおくことは、遺族にとってはひとつ負担の減る「助かる終活」になりますよね。

最後に。お葬式に参列した際、遺族にかける一番いい言葉をご紹介します。

「心よりお悔やみ申し上げます」も「悲しみが安らぎますように」もいいとは思いますが、とある日本語の先生がこう言っていました。わたしも同感です。お葬式はとかく遺族に負担のかかるもの。正解は「どうかお疲れがでませんように」だそうです。それでは、また。

(次回更新予定日 : 2017年4月10日)

 

 

 

※1 医療機関が紹介する葬儀社
正確には医療機関と業務提携している葬儀社、になります。なるべく早くご遺体を外に出したい医療機関と、仕事がほしい葬儀社という関係です。実際には連絡してから何分以内に引き取りに来れるのか、という厳しい裏の約束事もあるそうで、葬儀社側から医療機関にキックバックがあるのが通例です。したがって葬儀社にしてみれば、「搬送だけ」で終わってしまってはビジネスになりません。そのまま「何となく」その後の葬儀も取り仕切らせてもらって、ようやくキックバックができるというものです。

※2 互助会
聞いたことはあるけれどよくわからない、という方は多いのではないでしょうか。正しくは「冠婚葬祭互助会」と言い、経済産業省の許可を受け、特定のサービスの提供を目的とした、「前払い式特定取引業」のことです(笑)。会員が毎月掛け金を積み立てて、その積立金をもとに冠婚葬祭を行えるという仕組みで、結婚式・成人式等にも使用できます。ですが、なかなかトラブルが多いのも事実。互助会に関しては、また章を別にしてお話ししたいと思います。

※3 宗教は何だったか
日本の葬儀の約9割は仏式で行われています。したがって、何の宗教で葬儀をするかは大事なポイント。宗派はどこなのかも把握しておく必要があります(ちなみに我が家は浄土宗です)。また、お寺にお墓がある場合は菩提寺に連絡しましょう。菩提寺があるかどうかわからない方は、ごめんなさい、「何が何でも」突き止めてください。菩提寺に知らせないまま「うっかり」葬儀をしてしまうと、とても大変なことになります(笑)。この話もまた別の機会に。

※4 変動要素の明記
葬儀社の見積もりはまさに業界ならではで、ちょっと特殊なんです。「葬儀一式(葬儀費用)」という表現をするのですが、これは実はすべての葬儀代の「一部分に過ぎない」のです。実際に請求されるものは、「葬儀費用 + 実費費用 + お布施」の総額になります。葬儀費用は自社で用意するもの(祭壇や棺、スタッフ代)、実費費用は飲食や返礼品などの外注業者が用意するもの、をさします。これを覚えておけば、トラブル防止に役立ちますので、ぜひどうぞ(笑)。

※5 日本人独特の「死を忌み嫌う(死を考えたくない)習慣」
葬式仏教、という言葉があります。普段は何の関係性もないのに、お葬式になると出てくる形骸化した現代の仏教を揶揄しているのですが、しかし問題は仏教界だけにあるわけではありません。「死に触れると穢れる」という日本独自の宗教観により、わたしたちはあまりにも死を避ける傾向があります。死を考えたくない、イコール葬儀その他を誰かに丸投げしてしまう、という消費者側の態度にも問題があると思います。わたしたちはもっと、明るい場所で死を考える必要があるのではないでしょうか。

 

 

 

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吉川徹(よしかわとおる) プロフィール
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1977年静岡県浜松市出身

遺品整理士(IS02984号)
終活カウンセラー上級(1560194)
最終処分場管理責任者

【近況報告】
当HPでもお知らせしました次回のセミナー、3月24日(金)開催、「終活カウンセラーと書く初めてのエンディングノート書き方セミナー」ですが、おかげさまですぐに定員30名が埋まってしまいました。心より御礼申し上げます。入場無料ですが、みなさまの貴重なお時間をいただくわけですから、それに足る内容になるよう、今からどきどきしています(笑)。