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第3回 法律が現実に追いつかない

残っている家財道具を片付けられない

みなさま、まだまだ初めまして。株式会社三共の吉川徹(よしかわとおる)と申します。少し前のニュースですが、今回は大阪における「返されない公営住宅」のお話です。

賃貸住宅に住んでいる方が亡くなると、今までであれば家族の誰かが残された家財道具を片付け、部屋の解約の手続きをしていたと思います。遺品整理は家族がするもの(※1)であり、誰もその流れを疑ってきませんでした。

ですが。家族と連絡が取れなかったり、そもそも身寄りがなかったり、結果、残っている家財道具が処分できないというケースが増えているそうです。家財道具は私有財産ですから、その処分には相続人の許可が必要であり、第3者にはどうすることもできません。

 

 

 

家裁がこれをできると言えばできるのですが

入居者の家族(相続人)が見つからない → 残っている家財道具を片付ける許可が得られない → 部屋の解約ができない → 誰も住んでいないのに次の人に貸すことができない、ということです。

報道によると15年以上も放置された部屋もあるらしく(※2)、その間の家賃はもちろん支払われることはありません。これが公営住宅になると、税金が投入されているそれは「市民の財産」でもあるわけで、次の入居希望者がたくさんいるにもかかわらず、凍結されたまま放っておかれている、ということになります。

大阪府では特に問題になっているということで、遺品整理業に携わる者として無視できないニュースだと思いました。簡単に言えば、「法律が現実に追いついていない」ひとつの(そしてとても残念な)例だと思います。

法令上、身寄りがいない人の場合は、家庭裁判所の手続きをへて(※3)財産の処分ができますが、時間もお金もかかります。

そこで大阪府では公営住宅法の改正を目指し、具体的には、(1)相続人に対して家財道具の処分をすることを公知し、(2)期限内に処分されない場合は、行政が代わりにこれを処分することができるよう、新たな規定を求めているそうです。

 

 

 

終活を専門とする政治家がいてもいい!

法律が現実に追いついていない、と言いましたが、実際には逆のケースはありません。すなわち、「現実よりも先を行く法律」なんて存在しえない(※4)のです。環境保護の必要性がない時代に、環境保護法を制定することはできません。

とはいえ法の改正には時間がかかり、その間もコストは発生し続けています。そこで一部の自治体では、家庭裁判所の手続きを取らずに「職権で処分をしている」ケースもあるそうです(正直、これにはちょっと驚きました。現実的な対応だとは思いますが・・・)。

実際、大阪に限らず、家財道具が放置されたままの空き家・空き部屋は珍しくありません。総務省によると、平成25年の空き家率は13.5%で過去最高(※5)だそうです。

言うまでもなく、空き家・空き部屋は防犯上もよくありません。倒壊の危険性があったり、火をつけられたり。あるいは心無い者たちのたまり場になる可能性もあるでしょう。

大阪府の法改正の要望に対し、国土交通省は「積極的に議論していく」と回答したそうですが、個人的にも大いに期待しています。

正直、終活を専門とする政治家がいてもいいと思います。安全保障や経済政策も大切ですが、今日においては終活もまた、国民の生活に密接に結びついている営みのひとつですから

 

 

 

※1 遺品整理は家族がするもの
少し大きな話をさせていただくと、日本の場合は「家族の役割」が大きすぎると思います。家族がきちんと機能するということを前提で設計されている気がします。したがって「家族というセーフティネット」が機能しなくなると、出産や育児、離婚や介護といったものがすべて自己責任になってしまう。シングルマザーの貧困問題もここにあると個人的に思っていますが、このお話もまたいつか。

※2 15年以上も放置された部屋もあるらしく
大阪府の府営住宅では、返還されないままの住宅が190戸にものぼり、家賃に換算すると3億円以上にもなるとのこと。その一方、府営住宅の応募倍率は10倍以上で、「部屋は空いていて、次に住みたい人もたくさんいるのに、貸すことができない」という、言わば「三方悪し(さんぽうわるし)」の状態になっています。

※3 家庭裁判所の手続きをへて
現行の枠内で適正に処理するのであれば、家庭裁判所の出番ですが、もちろん税金がかかります。「放置された誰かの財産を処分するのに税金を投入するなんて」という声も聞こえそうですが、相続人がいない財産は国の所得になりますので、そこから使っていると考えることでもできると思うのは素人考えでしょうか。少し古いデータですが、平成22年の国庫帰属額は261億円だそうです。

※4 「現実よりも先を行く法律」なんて存在しえない
わたしたちのような廃棄物処理業者にとって最も身近な法律は「廃棄物処理法」なのですが、ともかくわかりにくい! その理由は簡単で、常に現実を後追いして、対処療法的に制定してきたからです。ですが、結局のところ、すべての法律はそのように作られています。現実の問題をひたすら打ち返しているうちに1年が終わる、それが政治の世界なんだと思います。

※5 平成25年の空き家率は13.5%で過去最高
すでに10軒に1軒ですらない、という驚愕のデータだと思います。都道府県別だと山梨県・愛媛県・高知県が多く、逆に空き家率が低いのが宮城県・沖縄県・山形県だそうです。空き家数・空き家率は増加の一歩をたどっており、残念ながらこの先も止まりそうにありません。

 

 

 

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吉川徹(よしかわとおる) プロフィール
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1977年静岡県浜松市出身

遺品整理士(IS02984号)
終活カウンセラー上級(1560194)
最終処分場管理責任者

【近況報告】
先日、参議院選挙がありました。18歳にも選挙権が付与されて初めての国政選挙、ということらしいですね。わたしも成人してから国政選挙は必ず投票に行っています。投票に行こう、と行政もマスコミもさかんに言いますが、しかし投票率が高いからといって、それがイコール成熟した民主主義国家というわけでもないような気がしますが、どうでしょう。

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第2回 遺品整理の現場から

日差しの強いある秋の日の昼下がりに

みなさま、まだまだ初めまして。株式会社三共の吉川徹(よしかわとおる)と申します。第2回目の今回は、実際にあった遺品整理の現場についてお話したいと思います。

営業で外をまわっているときに(※1)事務所から電話がかかってきて(日差しの強いある秋の日の昼下がりでした)、遺品整理の問い合わせなのですが、お客さまは今日中に見積もりに来てほしいとおっしゃっています、急ぎ連絡をしてください、とのことでした。

その時点ですでに時間が時間だったので、今日中の理由は何だろう、そんなに急ぎのケースがあるのかなと思いつつ、その場で電話をして16時過ぎにおうかがいする約束をしました。

 

 

 

お客さまをおまたせしたくない

現地にお邪魔してみると、ひとり暮らし用のアパートに4人の方がいらっしゃいました。陽も少し落ちかけている時間で、わたしを含めた成人が5人も一堂に会すると多少はせまさを感じるお部屋でした。

名刺を渡してご挨拶をすると、この部屋をすべて片付けてもらうといくらくらいになりますか、とのこと。ここで暮らしていた親が他界し、四十九日も先ほどすんだので、すべて片付けて今月中にアパートの部屋も解約したい、と。

ご依頼主は息子さまで、同席されていたのも身内の方でした。なるほど、四十九日の帰りで、関係者が一緒にいるときに遺品整理の金額や段取りを知りたいのかな、と思いました。

台所や押入れの奥、ベランダなども確認させていただいて、いくらいくらになりますとお答えしました。金額は単純に片付ける量に依存しますので(※2)、実際に現地を拝見させていただかないと算出はできません。

また、わたしたちは必ずその場でお見積り金額を提示するようにしています。一度社に持ち帰って検討します、は極力致しません。お客さまをおまたせするようなことはしたくないからです。後日になりますが、メールや郵送でお見積り書をお送りすることも(※3)、もちろん可能です。


金額はOKで、あとは段取りの話になりました。仕事をしているのでなかなか立ち会える日がないのだけれど、と心配そうにおっしゃるので、信頼の問題になりますが、その場で部屋のカギをお預かりし、作業日を決めてその日は失礼しました。

そしてカギは作業終了後、その方の職場までお届けに上がりました(※4)

 

 

 

たとえ立ち会っていただけなくても

実際には、依頼主さまが立ち会えないケースがほとんどです。作業自体も、半日で終わるものから、数日かかるものまで様々です。最初と最後だけ来ていただくか、あるいはご了承のもと、カギをお預かりさせていただいております。

最後まで依頼主さまにお会いしなかったケースもあります。県外に住んでいて、浜松に戻る時間がどうしても作れないということで(※5)、何度もメールでやり取りをし、当日は代理の方に来ていただいてお部屋を開けてもらいました。その場でお見積もりをし、電話にて金額をお伝えしてのご契約となりました。

思い出の残っている衣装だけは取っておいて、着払いでかまわないから郵送してほしい、とのご要望もありましたので、こちらで梱包し、作業終了後に送らせていただきました。

カギをお預かりするのも、そもそもお客さまのプライベートな居住空間にお邪魔するのも、信頼関係があってこそです。状況はそれぞれあると思います。もし、お電話やメールや訪問時の対応で、わたしたちが信頼できそうだとお感じになったら、どうぞわがままをおっしゃってください。可能な限り対応させていただきたいと思います。

わたしたちが無料のお見積りとして事前に訪問させていただいているのは、金額や段取りの確認をしたいのではなく、本当は、依頼主さまとの信頼関係を築くためなのです。

 

 

 

※1 営業で外をまわっているときに
前回のわたしのプロフィールにも書かせてもらいましたが、普段のわたしの仕事は「何でも屋」です。したがって、終日事務所にいるときもあれば、一日外に出ているときもあります。営業の方なら共感してもらえると思いますが、事務所にいるときのほうが忙しいです。外にいれば電話にすぐに出れなくても、いくらでも言い訳ができますもんね、えっへん。

※2 金額は単純に片付ける量に依存します
難しくいうと、「残置物の容量に正比例する」ですね。分別して必要があれば袋詰めをする、お部屋から運び出しをして車両に載せる、行政処分場まで車両を走らせる。スタッフが何人必要で、車両が何台必要で、時間がどれだけかかるか。それらを総合的に判断して、お見積り金額が決まります。片付ける案件が大きければ大きいほど、お電話口ではなかなか金額を言えません。

※3 メールや郵送でお見積り書をお送りすることも
不用品回収や遺品整理であるトラブルといえば、「最初に提示された金額と違う額を要求された」というもの。文書でのお見積り書を作成させておけば、多少はトラブル発生率も下がると思います。ですが、心ない不埒な業者はどこの世界にも必ず存在するもの。少しでも不審に思ったら契約しないことがいちばんの防衛策です。わたしたちは成約後のキャンセルにももちろん応じます。

※4 その方の職場までお届けに
ご清算方法は、原則として作業終了後に現金にていただいております。額がそれほど大きくない場合は、後払いでも結構です。担当した営業が集金にうかがうか、振込先を明記した請求書を郵送させていただいております。また高額の場合は、内金をいただいているケースもあります。極力、お客さまのご都合に合わせますので、どうぞご希望をおっしゃってください。

※5 浜松に戻る時間がどうしても作れない
「浜松に戻る時間がない、だけど何とかしてほしい・・・」というご要望をよくいただきます。県外に住んでいる方からの相談は日常茶飯事、アメリカ在住の方からメールでご相談をいただいたこともあります(結局、ご契約まではいきませんでした)。この国はどうなってしまうのだろう、縁をつむぐお手伝いが何かできないだろうか、というところからわたしは終活を・・・、というお話はまたいつか。

 

 

 

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吉川徹(よしかわとおる) プロフィール
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1977年静岡県浜松市出身

遺品整理士(IS02984号)
終活カウンセラー上級(1560194)
最終処分場管理責任者

【近況報告】
牡牛座のAB型であるわたしは男の子なので、占いの類は信用しません。もう少し正確にいうと、「興味を持てない」のです。特に血液型のあれ。わたし、典型的なB型でさあ、などと言われても、そもそも「典型的なB型の意味するところ」がわからないから、答えに詰まります・・・。え、おまえは典型的なAB型だろう、って? うーん、大雑把でがさつ、ってことでしたっけ。 ←納得。

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第1回 ほんのご挨拶でございますが

みなさま、初めまして。

みなさま、初めまして。株式会社三共の吉川徹(よしかわとおる)と申します。

当コラムでは、終活に関するあれこれを定期連載にして、2週間に1回の更新を目安にみなさまにお届けしたいと思います

第1回目は「遺品整理士」と「終活カウンセラー上級」、わたしも保有しているこのふたつの資格を紹介したいと思います。  

 

 

 

遺品整理士と終活カウンセラー

遺品整理士は、「一般社団法人 / 遺品整理士認定協会」1)が定める資格で、「遺品整理業界の健全な発展」を目的に設立されています。

ややもするとグレイな印象のある遺品整理業界ですが、みずから努力してクリーンにオープンにしていきます、ということだと理解しています。より正確に言うと、「遺品整理業の社会的役割と事業者数の増大に伴う、モラルの低下を是正することを理念とし、業界の健全育成をはかるため」だそうです、ふんふん。

弊社サイトでも公開していますが2)、わたしは「認定第IS02984号」をいただいております。2984人目、なんだと思います。

一方、「終活カウンセラー」は、「一般社団法人 / 終活カウンセラー協会」3)のもので、より包括的な終活サービスの水先案内人をするための資格です。

弁護士や税理士、葬儀社や墓石業者など、それぞれの専門分野をもっている人が多いです。わたしの場合はそれが遺品整理業ですね。

それぞれの専門分野を一歩先に進めて、終活を広く正しく世に伝える尖兵、といったところでしょうか。わたしは「上級認定番号15060194」になります。194人目ですね、きっと。

こちらは幅広い知識を求められますので、保険・相続・介護、葬儀などに関する勉強会を多く開いております。また、大きなところでいうと「終活フェスタ」(※4)も企画運営されています。ビジネスに結びつかなくても、みずからの学びのために参加されている方も多くいらっしゃいます。

ちなみに終活の定義は、「今をよりよく生きるための活動」です。決して「死への準備」ではありません。この話は次回以降にゆっくりお話しさせてください。

 

 

 

興味があるのなら、あなたもぜひ

わたしは名刺の裏にこのふたつの資格を明記しているのですが(他には乙種第四類と最終処分場管理責任者と全日本珠算連盟2級をもっています)、わりと突っ込まれます。

 「遺品整理士ってどんな仕事ですか」、「就活カウンセラーって何をするんですか」と。それはですね・・・、と話が続くので、名刺としては成功ですよね。

しかし、「遺品整理って何ですか」、「終活ってどんな意味ですか」とは聞かれません。遺品整理も終活も、それだけ浸透している言葉なのだと本当に実感します。

ちなみにネタバレをしてしまいますと、どちらの資格も決して「取得が難しい」というわけではありません。珠算2級のほうが大変です(毎日、そろばん教室に通ったなあ、しみじみ)。教員免許のように国家資格でもありません。資格がなくても遺品整理業はできるし、ビジネスとしての終活サービスも可能です。

興味のある方はぜひ、ご自身で取得してみるのもいいと思います。

わたしもまだまだ修練の身、未熟なテキストばかりの当コラムですが、どうぞよろしくお願い申し上げます(※5)

 

 

 

※1 遺品整理士認定協会
公式サイトはこちら( http://www.is-mind.org/ )。本部は北海道になります。身内が亡くなっても、親類が遠いところに住んでいて遺品の整理がままならない、なんていう北海道ならではの特異な地理的状況下で、遺品整理業が産声を上げたのであろうと勝手に想像しています。北海道、わたしは行ったことがありませんが、行ってみたいですねえ。

※2 弊社サイトでも公開
弊社のサイトはこちらに( http://www.sankyo-kun.jp/category/1989451.html )。遺品整理の相談をしたいんだけど、とお電話で言っていただければ、わたしのところまで繋がります。お電話やメールでの相談も、現地でのお見積りも、もちろん無料。お気軽にお問い合わせください。メールフォームはこちら( http://www.sankyo-kun.jp/category/1989471.html )。

※3 終活カウンセラー協会
代表の武藤さまはよくメディアに出ておりますので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。終活カウンセラー協会による終活の正確な定義は、「人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ、今をよりよく自分らしく生きる活動」です。公式サイトはこちら( http://www.shukatsu-csl.jp/ )。本部は東京都品川区。旗の台に可愛らしい本部事務所があります。

※4 終活フェスタ
終活カウンセラー協会が主催する「終活フェスタin東京2016」は、9月11日(日)に開催予定です。予約不要・参加無料の参加型イベント、わたしも後学のために遊びに行く予定です。棺桶に入ってみる体験が毎年大人気、自分自身の遺影撮影もいいですよね。後世に残るんですから、美人に撮ってもらわないと。終活フェスタのサイトはこちら( http://www.shukatsu-fesuta.com/ )。

※5 未熟なばかりの当テキストですが
最後に。なぜこのコラムを書こうと思ったかというと、実はわたし自身の勉強のためです。終活は本当に広範な知識が求められますので、実務的な問題はもちろんそれぞれの専門家(弁護士や税理士)にお任せするとして、広く浅く、常に勉強していけたらいいなあと思っています。どうぞ末永くよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

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吉川徹(よしかわとおる) プロフィール
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1977年静岡県浜松市出身

遺品整理士(IS02984号)
終活カウンセラー上級(1560194)
最終処分場管理責任者

【近況報告】
わたしの普段の仕事は組織における「何でも屋」です。電話対応から、クレーム処理から書類作成から、何でもします。え、そんなことまでするんですか、とたまに社外の人に言われますが、ええ、そんなことまでします。営業事務に頼まれてドラッグストアに行ったり(笑)。そして違う物を買ってきてよく叱られています。次から気をつけます・・・。