終活コラム

遺品整理士の終活コラム

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第25回 空家対策特別措置法

正しくは、「空家等対策の推進に関する特別措置法」

夏も過ぎ、空も気候もだいぶ秋めいてきましたが、みなさまお元気でしょうか。前回の更新から2か月も経ってしまい、ご無沙汰をしております。8月9月とセミナーを4回させていただき、またその他諸々多忙につき、というのはもちろん言い訳であります・・・。

さて。今回は「空き家対策」のお話。平成25年に、住宅全体のうち、すでに13.5%が空き家であるというデータが発表され(総務省統計局)、世間を驚かせました。これを受けて政府が空き家に対する施策を発表、それを略して「空家対策特別措置法」と呼んでいます。

こんなことを言うと怒られてしまいそうですが、ちゃんと終活に関する政策も日々、生まれているのですね。ひと安心(笑)。

空き家が増えているいちばんの理由は、もちろん人口減です。両親が亡くなり、家を引き継ぐ者がいない。賃貸・売却・解体等、どうにかしなくちゃいけないのだけれど、ふんぎりがつかず、また、固定資産税の優遇もあって(※1)、判断を保留にしてきた。

その結果が、13.5%ということなのだと思います。保有しているあの空き家をどうすべきか、みんな決めかねている、というところではないでしょうか。

 

 

 

不適切な空き家はこっちで片付けちゃうよ?

ではどういう法律なのか、一緒に確認してみましょう。平成26年に制定されたこの法律は、簡単に言うと、行政が不適切な状態にある空き家を「特定空家等」として指定。その後、立ち入り調査・指導・勧告・命令・代執行を行うことができる、というものになります。

では、「不適切な状態にある空き家」とはどういったものでしょうか。法律では、以下の状態を定義しています。

・倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態

・著しく衛生上有害となる恐れのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

壊れそうで危険である、非衛生的である、街並みを崩している。「そういう空き家は行政が指導して、最後は片付けちゃうからね?」ということだと思います。・・・こんな説明でわかっていただけたでしょうか(笑)。


言葉遊びになってしまいますが、「適切な状態にある空き家」(※2)というものは存在しません。定期的に訪問し、空気を入れ替え、部屋のお掃除をし、庭の草木の手入れをする。遠方にあれば、丸一日かかってしまうこともあるでしょう。空き家管理代行ビジネス(※3)があるくらいですから、本当に大変な作業です。


ゆえに。国としては、あまりに増えてしまった空き家を、最後は行政代執行を発動してでも解決したい。意思と理念を持ったこの法律を、わたしは歓迎したいと思います。

 

 

 

所有している空き家をどうすべきか、決断するべきです

空き家を放置しておいても、状況は好転しません。3年後に移り住む予定があるのであれば、その間のメンテナンスだけをしておけばいいのですが、それは稀なケースだと思います。

賃貸にするにしても、家屋ごと売却するにしても、更地にして土地を売却するにしても、コストがかかります。「お金も手間もかかるから」と結論を先延ばしにしてきたこの問題ですが、どうやら、その決断をすべきときがきたようです。

上記のどの選択をするにしても、中の家財道具はすべて片づけなければなりません(※4)。空き家というのは実は、遺品整理が終わっていない家屋なのです。遺品整理はぜひ当社にご用命ください、と少しだけ宣伝をさせてください・・・。

最後に。こういう法律ができると、すぐにそれに群がる新ビジネスが立ち上がります。「新しい法律ができて、行政が空き家を一方的に片づけることが可能になりました。あなたの空き家、大丈夫ですか? そうなる前にすぐに当社にご相談を!」なんて。

人の不安に付け込む不埒なビジネスは、いつの時代も後を絶ちません。行政が一方的に片付けてしまう、イコール、行政代執行が行われるまで、相当の時間があります。その前に調査・指導がきますので、そうなったらイエローカード。重い腰を上げてください。

決して慌てて怪しげな業者に依頼してはいけません。終活に群がるよろしくないビジネス(※5)に注意を喚起するのは、終活カウンセラーとして、とても大事なことだとわたしは思っています。

では重い腰を上げたその先、賃貸・売却・解体等、どういう手順があるのでしょうか。次回はそのへんについてお話ししたいと思います。ちゃんと、月に一回は更新しますね(笑)。それではみなさま、ご機嫌よう。

 

 

 

※1 固定資産税の優遇もあって
土地や家屋を所有している者に対して、市町村が課税している地方税のひとつです。よく知られている話ですが、家屋が建っていると、更地の状態よりも固定資産税が最大で1/6になり、結果、空き家が放置されている原因のひとつになっています。「税の優遇措置が空き家の増大を招いている」と言えます。そして今回のこの「特定空家等」に指定されてしまうと、この優遇措置が使えなくなってしまうのです。「あなたの固定資産税が6倍に!」なんて業者のコピーが頭に浮かびます(笑)。

※2 「適切な状態にある空き家」
言葉遊びの続きになりますが、実は「適切な状態にある空き家」というものは存在します。それは何だと思いますか? 正解は「別荘」です。別荘の管理はとても大変で、というのは昔からある話ですよね。近所の人にお金を払って、定期的に訪問してもらって、清掃その他をしてもらう。1年の間のほんの少ししか過ごさない別宅にコストをかけるのですから、文字通りのお金持ちにしかできない所業です。たまにしか行かないのならホテルで充分じゃん、と物欲(とお金)のないわたしは思ってしまいます。

※3 空き家管理代行ビジネス
実際にどんな業者がどんなサービスをしているか、ご紹介しましょう。某不動産管理会社は、月額10,000円で、月に1回の訪問になります。換気、簡易清掃、状態のチェック、郵便物の受け取り等で、滞在時間は70分程度とのこと。別の会社は月額4,800円で、月に1回の訪問。こちらは簡易清掃は別途オプションだそうです。わたしもビジネスパーソンですので、実はこのビジネスは考えました。サービス提供者の立場から言うと、単体ではたぶん儲からないでしょう。契約者と信頼関係を深めて、最後に解体・売却の発注をもらいたい、のだと思います。

※4 中の家財道具はすべて片づけなければなりません
これが面倒なんですよね。例えば完全に解体してしまう場合、昭和の時代は、重機で一切合財をぐしゃっとやって終わりです。現在は法律の適用が厳格になり、それができません。中の家財道具は一般廃棄物、外の壁や骨組み等は産業廃棄物。それぞれ別の種類の廃棄物として、適正に処理しなければならないのです。わたしたちのような一般廃棄物業者にしてみれば有り難い話なのですが、正直、昭和のスタイルに戻した方が空き家の解消は進みますよね、なんて。

※5
 終活に群がるよろしくないビジネス
当コラム第10回でも触れましたが、その代表格は「相続税対策としてのマンション経営」です。相続税の控除額が引き下げになり、より多くの人に負担がかかるようになりました。それは事実なのですが、それでもなお、相続税がかかる人は全体の8%程度と試算されています。まずは資産の棚卸をして、自分がその上位8%の富裕層に当てはまるのかどうか、調べてみて下さい。この場合、力になってくれるのは税理士です。不安をあおって高額の商品を買わせようとする業者に、ぜひご注意下さい。

 

 

 

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吉川徹(よしかわとおる) プロフィール
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1977年静岡県浜松市出身

遺品整理士(IS02984号)
終活カウンセラー上級インストラクター(15060194)
最終処分場管理責任者

【近況報告】
セミナーの自己紹介時に、「趣味ってないんですよねえ」という話をするのですが、考えてみたらつまらない話。そこで思いついたのが、惰眠をむさぼること。実はわたし、連続睡眠時間の世界記録を持っているのです! その時間は25時間! 本当なんです、これ。すごくないですかっ? やっぱりつまらないので、テコンドーの東海大会で優勝しました、にします。・・・嘘です。